こんにちは、ます。(@math-kosen)といいます。
令和2年度東北大学工学部の編入学試験に合格したので、当日の雰囲気や試験の内容、試験対策について書いていきます。
いきなりなのですが、「東北大学を受けてみたら」と言われたら、どう思いますか?

と思うかもしれませんが、実は、東北大学は旧帝大のなかでも比較的試験も簡単で、合格しやすいです。
意外かもしれませんが、過去問で問われていることは基礎的な問題が多いです。
わけのわからない問題もあまりでないです。出たとしても周りも解けないと思った方がいいです。
化学も正直、1、2ヶ月あれば十分戦えるようになります。
というのも、東北の化学は高校範囲が多く、基本的なことしか問われないからです。
化学があるとはいっても、英語はTOEICなので実質3教科だけです。そう思えば、化学がそこまでネックになることもないと思います。
旧帝大とはいえ、しっかりと対策していけば合格も夢じゃないので、「自分には才能がないから〜」と思わないで受けてみることをオススメします。
目次
プロフィール
東北大学の受験を決めた理由
ぼくは、高専では電気電子工学科で学んでいるのですが、正直なところ、「電気がおもしろくない」と思ってました。
学年が上がるにつれ、将来のことを考えたときに、自分が興味のある『生体』や『医学』について学びたいなと思いました。
しかし、生体や医学を学ぼうとするなら、一般的に転科をする必要があり、非常に大変だとわかりました。
そんな中、東北大学の電気科には、[バイオ・医工学]コースという転科せずに生体や医工学を学ぶことができ、今まで学んできた電気電子工学の知識をムダにせず、むしろ活かすことができるとても魅力的なコースがありました。
さらに、東北大学の大学院には、医工学研究科というところがあり、日本で数少ない生体や医工学を学べる電気科のある大学ということで受験を決めました。
高専での成績・TOEICのスコア
実は、もともと情報系の学科に入りたかったのですが、その学科に落ちて学年ビリで電気電子工学科に入学しました。
東北大学では成績も点数に入る(主に順位ではなく優・良などの評価)ので、成績もできるだけとっておいた方がいいです。
学科順位ですが、
1年:10位
2年:1位
3年:3位
4年:11位
5年:2位→6位(前期中間→前期末)
といった感じで順位の変動が激しいですね。
良い順位とりたくてテスト期間は特に勉強をがんばってました。
ちなみにTOEICは745点(L:395 R:350)で提出しました。
受験した大学
以下の3つの学校を受験してすべて合格をいただきました。
- 専攻科
- 京都工芸繊維大学
- 東北大学
滑り止めは受験科目や試験日程、お財布と相談して決めましょう。
受験慣れするためにも滑り止めは1校は受けておいた方が良いです。
課外活動など
ソフトテニス 部を5年間続けました。
ちゃんと毎日行って最後の高専大会にも出ました。
基本的に高専から進学では、部活を早めに引退する人が多いと思います。
もしかすると「進学希望だけど部活もがんばりたい!」って人もいるかもしれませんが、必ずしもどちらかをあきらめる必要はないと思います。
楽ではないですが、部活を続けながらでも合格することは可能です。
ちなみにですが、僕の知り合いに部活を続けながら東大に受かった強者もいました。
また、部活以外の活動として、高専マガジンで記事を書いたり、パテントコンテストで表彰されたりしました。
試験当日の流れ
試験前日
試験前日に飛行機に乗り、仙台に着きました。
仙台に来るのは初めてでした。
まず思ったのは、夏場なのにスーツ着てても涼しくて気持ちいい!ってことです。
下見に行く前にホテルに荷物を預けに行きました。
泊まったところは『ホテルメトロポリタン仙台』というホテルです。
実質、仙台駅かなと思えるくらい駅近でした。
部屋もキレイで居心地が良かったです。
前日にぐっすり眠るためにも、少し高くても、ちゃんとしたホテルに泊まることをオススメします。
そして、仙台駅から地下鉄で10分かけて下見に行きました。
キャンパスは広く迷いやすいので必ず下見には行った方が良いです。
オシャレでキレイなキャンパスを進んでいくと試験会場らしき看板を見つけました。

やっとの思いで見つけた試験会場の看板、よく見ると農学部の院試会場でした(笑)
もう一度言いますが、下見は必ず行きましょう。
試験1日目
試験1日目は筆記試験が行われました。
会場は食堂の上の2階にある大講義室。
当日は強い大雨で会場に着くまででかなり濡れてしまって大変でした。
服装ですが、だいたいスーツ、私服もそれなりに見られました。
試験は朝の9時から夕方の4時ごろまで続くので、体力的にキツいです。
試験中、緊張のせいか何度かめまいがして倒れそうだったので体調を万全にして臨みましょう。
また、各試験の休憩時間は回収の時間でかなりとられるので、当日はほとんど勉強できないと思っていた方が良いです。
当日、確認するところを簡単にまとめておきましょう。
試験問題と解答用紙は封筒に入ったものが配られた。封筒に東北大学のロゴが入っててかっこいい。
試験を終え、夜は東北大通過儀礼である「牛タン」を食べました。
試験後に食べるお肉は格別でした。
ちなみに、食べログの評価が高かった『たんや善次郎』というお店に行きました。
面接練習は何度かしたので、この日はまとめたノートを見て軽くイメトレして寝ました。
試験からの解放で、ホテルでYouTubeを見まくりました(笑)
試験2日目
2日目は面接のみです。午前中に全員終わる感じです。
もちろん、みんなスーツを着ていました。
例年、学校が遠い順から面接をするらしいのですが、今年は受験番号順でした。
控え室には飲食するスペースも用意されていました。
控え室では話すことをまとめたノートを見てる人が多かったです。僕は、何度か面接練習したため、口頭試問対策に電磁気の教科書を読んでました。
控え室で待つ時間が緊張と不安で一番苦痛でした。
試験内容
1日目に行われる筆記試験では、数学、物理、お昼休みを挟んで化学の順に行われました。
・数学(90分)
↓
・物理(90分)
↓
・お昼休憩
↓
・化学(90分)
*試験問題については詳しくは過去問を参照してください。
数学
大問1 ベクトル
ベクトルの成分表示や二直線の最短距離などを求める問題でした。
大問2 積分漸化式
1/cos^(2n-1)xの0~π/4までの定積分でした。
大問3 行列式
小問が3つあり、それぞれ、逆行列、n乗の計算、n乗計算で計算量が多かったです。
まとめ
例年と比べて、傾向が変わったためか、やや難しかったです。
積分漸化式が全然解けず、出来は6~7割。
試験終了後、みんなできてなさそうな雰囲気だったので、なんとか耐えたかなというお気持ちでした。
余談:受験番号についているTBという記号を書くかどうかを確認で、試験時間が全体で15分くらい遅れました。
来年以降の受験生は書きましょう。(笑)
物理
大問1 力学
定滑車の回転に関する問題でした。
大問2 電磁気学
導体球の電界、電位とそれらの図示、静電エネルギー、静電容量を答える問題でした。
大問3 波動(光)
光の屈折、全反射から出題されました。
最初に屈折の定義を25字以内で書くクセのある問題でした。
光ファイバーの問題で調べると類題が出てくると思います。
まとめ
難易度は例年通りでした。
波動に少し手こずりましたが、出来は10割。
数学の挽回ができたと思います。
化学
大問1 物理化学
クラウジウス・クラペイロンの式、相転移に関する問題でした。
大問2 無機化学
予想が当たり鉄に関する知識を問う問題でした。
大問3 有機化学
芳香族化合物の分類、アニリンに関する問題でした。
まとめ
近年、大問1は大学範囲の物理化学が出ていて一応、対策してはいました。問題を開いた瞬間「クラウジウス・クラペイロンの式」が見えて
「あっ、」ってなりましたw衝撃すぎて草生えました。
有機化学が大学範囲も含んでいたりと傾向がかなり変わり難化したと思います。
幅広く勉強した甲斐もあり試験の出来は7割くらいでした。
ここで、試験会場が色んな意味で終わった雰囲気でした。筆記全体の出来はイマイチだったけど周りよりはできたかなという手応えでした。
化学・バイオ工学科の受験生はここから、2時間、専門科目の試験があるらしいです。うひょー…想像するだけで震えますね。
面接
2日目は面接です。1日目の会場と同じ場所に集合しました。
そこから、各学科の棟に行きパソコン室で待機させられました。
受験生は面接の順番が書かれたプリントをもらい、そして、携帯を封筒に入れるように言われました。
ぼくは2番目だったので、すぐによばれました。
教授が扉を開けてくださり、部屋に入り面接が始まりました。
面接官は3人、教授との距離は3mくらいで、時間は10分間でした。
真ん中の人が進行していく形式でした。
面「まず、受験番号、名前を教えてください。」
僕:受験番号と名前を言う。
面「ありきたりですが、志望動機を教えてください。」
僕「はい、私が貴学を志望した理由は〜〜医工学を学びたかったからです。(長いので今回は割愛)」
面「なるほど、医工学を学びたかったのですね。」
ここで左の面接官が質問してくる。
面「部活に関して質問ですが、部活を通してマネジメント的な部分で学んだことはありますか?」
僕「はい、部活では副キャプテンを務めていて、チームをまとめることが多くあり、練習メニューを考えることもありいい経験になりました。」
面「で、結局何を学んだの?」
僕:(やっべぇ、ごまかせなかったぁ(汗))
僕「判断力が身につきました!」
冷や汗を少しかいたとこで次は右の面接官から
面「卒研はやってる?どんなことやってるの?」
僕「少しやってます。内容は静電アクチュエータの解析で〜(割愛)」
面「この研究で一番使われる科目は何ですか、その中で重要な定理は?」
僕「はい、一番使う科目は電磁気学でクーロンの法則が一番重要だと思います。」
面「では、初歩的なことだけどクーロンの法則説明して」
ここでうわさで聞いていたとおり、口頭試問がきました。
僕「式は〜〜で、電荷の2乗に比例し、距離の2乗に反比例します。また、向きはそれらの直線上で、重ね合わせの理がなりたちます。(ドヤァ)」
ドヤ顔がキマったところで再び真ん中の面接官から
面「高専マガジンについてどんな活動何ですか?」
僕:高専マガジンについて説明する。
面「それは素晴らしい取り組みですね」
面接官が紙をペラペラめくる。
面「パテントコンテストでも表彰されてるみたいですが、これはなんですか?」
僕「パテコンとは〜〜僕は〜〜こういう物を作りました。」
面「なるほど。わかりました。」
面「これは合否には関係ないですが、併願校と合否を教えてもらえますか?」
僕「専攻科と京都工芸繊維大学です。どちらも合格しました。」
面「わかりました。では、これで面接を終わります。」
僕「ありがとうございました。」
面接官やさしかったです。手応えはかなりありという感じです。
あとで聞いた話によると、面接室は3つあったのですが、僕が入った面接室は圧迫だったそうです。(あれ?)
面接対策のポイント
体感として、調査書に書いたことを中心に聞かれました。
ですので、調査書に書けるネタをいくつか作っておくといいでしょう。
僕の場合だと、部活、高専マガジン、パテコンなどを話せるようにしました。
そして、卒研についてもほぼ聞かれると思うので、説明できるようにしたほうがいいと思います。
これは募集要項には書かれていないことなのですが、
面接の中で軽い口頭試問があるので、電磁気、電気回路などの専門科目の用語やそれらの意味について答えられるようにしておくといいと思います。
ドヤ顔をキメられるくらいには勉強しましょう。(違う)
試験対策
合格ボーダーライン
試験の得点配分ですが、筆記試験が400点、面接と成績が300点の計700点満点の配点です。
また、学科は各科目100点ずつとなっています。
筆記300/400、面接260/300、合計560~580/700くらいがボーダーラインと言われています。
つまり、7割くらいとれたらいいって感じです。
ちなみに、電気情報物理工学科の合格者は35人中11人でした。
(意外といっぱいとってくれてる)
採点について
採点方法は実際のところわかりませんが、
東北大学では、解答用紙が白紙です。
大問一つにつき解答用紙両面1枚です。
数学は下書き用紙もあり、解答用紙も2枚あった気がします。
つまり、何が言いたいかと言うと解答はていねいに書こうということです。
部分点があるのかどうか知りませんが、採点官は教授陣です。
受験生がどのように考えて問題を解いているのかも見ていると思います。
時間の許す限り詳しくていねいな解答を心がけましょう。
数学対策
数学は、空間図形やグラフの作図など、微積線形問わず『図形』の分野の問題がよくでているので、このような問題を中心に解きました。
ここ数年でてないですが、数列の問題もよく出るのでやっておくといいでしょう。
・微積、線形、行列式の3問構成
・図形の問題の学習は必須!
・数列や漸化式もでる
物理対策
物理は、参考書でよく見るオーソドックスな問題が多く、普通に演習をこなせば解けるようになると思います。
毎年、大問3で熱・波動のどちらかがでていますが、だいたい高校範囲の内容で対応できると思います。
・力学、電磁気、熱or波動の3問構成
・オーソドックスだがやや量が多い
・熱、波動は高校レベル
化学対策
化学は過去問を見ればわかると思いますが基本的に高校範囲で戦えます。内容も基礎的なことが多く問われます。
東工大や名古屋と比べれば東北の化学は簡単です。
捨てる必要はありません。
とはいえ、近年、大学範囲の内容も少し出題されている傾向になりつつあります。
ですので、まずは高校レベルをしっかり固めて、プラスアルファで大学レベルに手をつけていくといいと思います。
大学化学では、特に物理化学、熱化学をやっておくといいと思います。
・物化、無機、有機の3問構成
・高校範囲がメイン
・基本問題が多い
・大学範囲もやると差をつけられる
TOEICについて
TOEICに関しては、とにかく模試をやりましょう。
勉強法はいくらでも調べればでると思います。
点数換算ですが、
730点で満点という噂が流れている気がしますが、僕は600点で80点を基準にしていると思います。
これは、過去の開示された点数をもとに考察しました。
もし、これが正しければ満点は730点ではないと考えます。
というのも、僕の専攻科のTOEICの点数換算が600点で80点を基準にしていて730点で満点ではないからです。
とはいえ、僕は745点で出しましたが92点に換算される計算なので700点あれば十分得点源になりますね。
500点台でも受かってる人もいるので、点数が低くても他で挽回することは可能です。
どちらにせよ、高いことにこしたことはないです。
・点数換算は600点で80点説
・500点台でも挽回は可能
・公式問題集をやりこむ
使用した参考書
Studyplusで使った参考書や勉強時間の詳細が見れますので、詳しく知りたい方はこちら。
数学
徹底演習:2周
過去問特訓:3周
大学編入のための数学問題集:1周
極めるシリーズ 微積・線形:図形関連を1周
編入数学入門:数列、漸化式を2周
物理
学校で配布されたプリント:3周
基礎物理学演習(青い表紙の):2周
大学生のための初等力学:2周
大学生のための電磁気学:2周
物理のエッセンス:熱・波動を中心に3周
名問の森:熱・波動を2周
化学
DOシリーズ 理論・無機・有機:演習は2周、何周も読んだ。
基礎問題精講:2周
橋爪のこれだけで合格!シリーズ:2周
*過去問は23年〜31年までを3周ずつしました。
参考書厨なのでかなりの量をこなしたかと思います。(笑)
編入を通してのアドバイス
編入試験を通して、一番合格につながったなと思うポイントは、
「他の人と差をつける」ことです。
なんでかというと、編入を目指す学生はみんな賢いですし、学力に大きな差はないからです。
例えば、高専生はよく理系ネタでよく盛り上がりますし、編入ネタもある程度通じますよね。
そして、編入学というのは募集人数が一般入試に比較して少ないです。優秀な人がたくさん受けても取れる人数が決まっています。
その中で受かる人というのは、クラスに一人はいるような天才と人一倍努力した人だと思います。つまり、頭ひとつ抜けた人が受かります。
実際、僕は大学化学であったり、大学レベルの熱力学も念のため勉強しました。
「そんなとこ出ないでしょ」と思うこともあると思いますが、過去問がすべてではありません。
「やらなくてでた」より、「やったけどでなかった」の方がいいですよね。受かったのであれば。
こういった記事を読んでもたいていの高専生はやった気になって、結局は勉強しません。
要するに、これはチャンスなのです。合格に向けて周りと差をつけて人一倍、勉強していきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
東北大学は旧帝大の中では比較的簡単で受かりやすいです。
部活を続けながらでもなんとか合格することができました。
「継続は力なり」です。
最初はまったくわからなかった過去問も地道に努力を続けていけば、スラスラ解けるようになります。
才能ではなく努力で合格できます。
東北大学を目指す人はぜひ参考にしてみてください。
同じキャンパスで会えることを楽しみにしております。
ここまで読んでくださり本当にありがとうございました!
質問などあればぜひコメント欄、もしくは僕のTwitterにお気軽にコメントしてください!
それに化学もあるし〜